車のエアコンが最初は冷えるのに途中から冷えなくなる原因は?整備士が解説
「エアコンをつけた直後はよく冷えるのに、しばらく走っていると冷えなくなる」
「最初は風量も強いのに、時間が経つとだんだん風が弱くなる」
このような症状は、単純なエアコンガス不足だけが原因とは限りません。
特に時間が経つにつれて風量そのものが弱くなる場合は、エバポレーターの凍結なども考える必要があります。
この記事では、車のエアコンが最初は冷えるのに途中から冷えなくなる原因と、自分で確認できるポイントを整備士目線で解説します。
まず「冷えなくなる」のか「風が弱くなる」のか確認
最初に確認したいのがここです。
同じ「エアコンが効かなくなった」でも、
- 風量は強いままだけど、風がぬるくなる
- 冷たいままだけど、吹き出す風が弱くなる
- 風量も冷たさも低下する
では、疑う原因が変わります。
症状が発生したときに、吹き出し口へ手を当てて「温度」と「風量」を別々に確認してみましょう。
原因① エバポレーターが凍結している
今回の症状で特に確認したい原因のひとつです。
エバポレーターは、車内へ送る空気を冷却する部品です。
通常は適切な温度になるよう制御されていますが、何らかの原因で冷えすぎると表面の水分が凍結することがあります。
氷が成長するとエバポレーターを空気が通過しにくくなり、
最初はよく冷える
↓
しばらくすると風量が弱くなる
↓
最終的にほとんど風が出なくなる
という症状が発生することがあります。
エアコンを止めると復活する場合は要チェック
エアコンをOFFにしてしばらくすると、凍っていたエバポレーターの氷が溶けます。
その後、
- 再び風量が戻る
- 再びエアコンが冷える
- 車の下から大量の水が出る
といった症状があれば、エバポレーター凍結を疑う材料になります。
原因② エバポレーター温度センサーの不具合
エバポレーターが冷えすぎないよう、温度を監視しているセンサーがあります。
このセンサーが正常な温度を検出できなくなると、エバポレーターが必要以上に冷却される原因になる場合があります。
結果としてエバポレーターが凍結し、時間が経過すると風量が低下することがあります。
この場合はエアコンガスを追加しても根本的な解決にはなりません。
原因③ 膨張弁(エキスパンションバルブ)の不具合
膨張弁は、エバポレーターへ送る冷媒を適切に調整する重要な部品です。
膨張弁の動きが悪くなったり、冷媒回路に詰まりが発生したりすると、エアコンの冷え方が不安定になる場合があります。
症状によっては配管の一部分だけ異常に冷えたり、霜が付いたりすることもあります。
この部分の診断には冷媒圧力などの確認が必要になるため、整備工場での点検がおすすめです。
原因④ コンプレッサーの不具合
風量自体は変わらないのに、
「最初は冷たいのに途中からぬるい風になる」
という場合は、エバポレーター凍結とは別の原因も考えます。
そのひとつがコンプレッサーです。
コンプレッサーの状態や制御に問題があると、一定時間使用したあとに正常な冷媒圧力を作れなくなる場合があります。
また、マグネットクラッチを使用している車種では、クラッチ側の不具合によってコンプレッサーが作動しなくなるケースもあります。
原因⑤ 電動ファン・コンデンサーの冷却不足
「走っていると冷えるのに、渋滞や信号待ちになると冷えなくなる」
という場合は、こちらを疑います。
走行中は走行風によってコンデンサーを冷却できますが、停車中は電動ファンによる冷却が必要です。
そのため、
- 電動ファンが回らない
- ファンの回転が弱い
- コンデンサーが汚れている
- 冷却風が十分に通らない
などがあると、停車中にエアコン性能が低下する場合があります。
走り始めるとすぐ冷える場合は、エバポレーター凍結とは分けて考えましょう。
→ 車のエアコンが走ると冷えるのに停車するとぬるい原因は?信号待ちで冷えないときのチェック方法 | 車トラブル解決ナビ
原因⑥ 冷媒量が適正ではない
冷媒量の異常でもエアコン性能は低下します。
ただし、ここで注意したいのが、
「冷えないからガスを足す」という判断です。
冷媒は少なすぎても正常に冷えませんが、多すぎても正常なエアコン性能を発揮できない場合があります。
また、冷媒が不足しているのであれば、漏れが発生している可能性もあります。
そのため、原因を確認せず市販の冷媒缶を追加していく方法はおすすめしません。
自分でできるセルフチェック
症状が発生したら、次の順番で確認してみてください。
① 風量を確認
最初より明らかに風量が弱くなっていないか確認します。
時間とともに風量が低下する場合は、エバポレーター凍結を疑うポイントになります。
② A/CだけOFFにしてみる
症状が発生した状態で、送風を残してA/CをOFFにします。
しばらくして風量が戻り、その後A/CをONにすると再び冷える場合は、凍結していたエバポレーターが解凍された可能性があります。
③ 停車中だけ発生するか確認
走行すると冷えて停車するとぬるくなるのであれば、電動ファンやコンデンサー冷却側も確認します。
④ 発生するまでの時間を覚えておく
例えば、
- 毎回20~30分程度で発生する
- 高速道路を走ったときだけ発生する
- 猛暑日だけ発生する
- 渋滞中だけ発生する
などです。
この情報は整備工場で診断するときにも非常に役立ちます。
症状別の簡易診断表
| 症状 | 疑う原因 |
|---|---|
| 時間とともに風量が弱くなる | エバポレーター凍結・温度センサーなど |
| A/Cを止めて休ませると復活 | エバポレーター凍結の可能性 |
| 風量は変わらず途中からぬるくなる | コンプレッサー・制御・冷媒系 |
| 停車するとぬるくなる | 電動ファン・コンデンサー冷却 |
| 配管の一部に霜が付く | 膨張弁・冷媒回路など |
※あくまで原因を絞り込むための目安です。症状だけで故障箇所を確定することはできません。
エアコン添加剤を入れれば改善する?
今回のような症状では、まず原因を特定することが重要です。
例えば、
- エバポレーターが凍結している
- 温度センサーが故障している
- 膨張弁が詰まっている
- 電動ファンが回っていない
- コンプレッサーが故障している
といった状態は、エアコン添加剤では修理できません。
添加剤は故障修理剤ではないということは覚えておきましょう。
整備士おすすめのエアコン用品
エアコンシステムに明らかな故障がなく、普段のメンテナンスをしたい場合には次のような用品があります。
WAKO'S PACシリーズ
エアコンコンプレッサーの潤滑性向上や抵抗低減を目的としたエアコン添加剤です。
故障を直す目的ではなく、正常に作動しているエアコンのメンテナンス用品として使用するのがおすすめです。


※冷媒漏れ・コンプレッサー故障・膨張弁詰まり・センサー故障などを修理する商品ではありません。
エアコンフィルター
最初から風量が弱い場合は、エアコンフィルターも確認してみましょう。
ホコリやゴミが大量に詰まっている場合は、交換によって本来の風量を取り戻せることがあります。
こんな場合は整備工場で点検を
- 毎回同じ時間で冷えなくなる
- 風量がほとんど出なくなる
- コンプレッサーから異音がする
- 配管に異常な霜が付いている
- 電動ファンが作動していない
- エアコンを停止しないと復活しない
- 冷媒を補充しても症状が再発する
エアコンは症状が出ている状態で点検した方が原因を特定しやすい場合があります。
整備工場へ持ち込む際は、
「最初は冷えるけど30分くらいすると風量が弱くなる」
のように、症状と発生条件を具体的に伝えるのがおすすめです。
まとめ|途中から冷えなくなるなら「風量の変化」を確認しよう
車のエアコンが最初は冷えるのに途中から冷えなくなる場合、最初に確認したいのが風量も一緒に低下しているかです。
時間とともに風量が弱くなり、A/Cを停止してしばらくすると復活する場合は、エバポレーター凍結などが考えられます。
一方で風量は変わらず、冷風だけがぬるくなるのであれば、コンプレッサー・冷媒・電動ファン・制御系統など別の原因も考える必要があります。
「とりあえずガスを補充する」のではなく、症状が出る条件を確認してから原因を切り分けることが重要です。


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